厚生労働省介護保険最新情報(VOL1943・2021/3/19)
上のリンク先の厚労省通達にもあるのですが、行政に報告する事故、これが「事故報告書」となります。そしてそれ以外は「ヒヤリハット」という枠組みです。
例えば、転倒して様子見となった場合は、ヒヤリハットです。転倒して医師の指示により何らかの処置をした場合(湿布を貼るなど)は、事故報告書です。
この境目、国がきちんと提示しているのもかかわらず(それも運用し易いような形で)、オリジナルルールを策定している施設が多いです。
ルール作りを経験則に頼るのは危険!?
特に古くからこの業界にいるスタッフは、このあたりの線引きを経験則で片付けてしまう傾向があり、行政の枠組みと照らし合わせをしません。
事故報告書はその後の対策や経緯も記す必要があるため、かなりの労力を要します。また、目撃者が記すというのが普通になっており、この労力を惜しむ場合、「なかったことにする」スタッフが現れる可能性もあります。
この事故報告書の定義は働いているスタッフの意識にもあらゆる面で大きく作用しますので、「行政の指針に沿った対応を施設として行っている」という形にするのが、ベターです。
では、ヒヤリハットは?となるのですが、これはあくまで「施設ごとの事故予防対策」なので、行う・行わないは施設毎の判断となります。ただし、「行わない」は施設にとってマイナスです。なぜなら危険なことに気付いたスタッフが、それを上申する先がなくなってしまうからです。
ヒヤリハットは「現場」と「上司」の業務改善コミュニケーションツール
ですので、ヒヤリハットはドンドン上申してもらう、という形を目指すと良いです。あくまで、「ヒヤリ・ハットした内容」を記すためのもので、その解決策まで記させる必要はありません。スタッフに対し「気付くことは施設として求めている」という姿勢を見せることです。
そして、施設長を始めとする、いわゆる「幹部」の方々は、これらヒヤリハットを精読し、対策を施していく(=フィードバックさせていく)、、、これらの一連の流れをルーティン化させることで、事故予防効果は十分に期待できます。
一番まずいパターン、、、事故報告書対象か否かを「人の判断」に任せてしまっている施設、、、です。「あの人はお気に入りだから書かないで済んだ、私は嫌われいるから書けって言われた。」ということが、判断した上司が意図しなくても必ず起きます。
是非保険者に確認しながら、行政の指針に沿った「事故報告書」「ヒヤリハット」の運用を行ってみましょう。