前回の記事「介護は「文章の記録」と「数字の記録」を分けて管理した方が何かと良い?」で、ノーコードツールの「App Sheet」はコストパフォーマンスに優れていると記しておきながら、文書の記録はなぜ有料サービスに誘導するの?という疑問があるかと思います。
ノーコードツールでも恐らく文章の登録や保存は数字同様にできます。が、文章の記録は「App Sheet」で管理することはお薦めできません。
理由は2つあります。
①遡る期間が長い?
一つ目は、文書の記録は数字の記録と比較し、スパンの長い期間を遡り確認するため、保存先を日付で区分けすることが難しいからです。
数字の記録は月毎に区切り管理することはとても一般的です。紙ベースでも恐らくそうしているでしょう。しかし、文書の記録は数字に記録と比較して「長い時間を遡って確認する」ことが圧倒的に多いです。特に新人スタッフにおいて、それは非常に重要な「業務の教科書」になっており、入居から現在まで確認できる方が心強いです。数字の記録は前回の記事でも触れてますが、たまに「2週間前」くらいの記録を確認する位で、1ヶ月前・3ヶ月前の数字で表示できる記録を確認することは、通常業務において非常に稀なことです。
そのため、文章の記録は日付を区切り管理する場合は長期(半年〜1年単位)となるため、データ容量も多くなるため、表計算シートで管理・保存するには労力が相当費やされることになります。
②改ざんを予防する?
2つ目は、介護業務における「文章の記録」は修正をした場合、その修正前の記録も確認できるようにしておきます。紙で記録していた時に修正液ではなく二重線で修正するように指導された記憶のある方も多いのではないでしょうか?
この「修正される前のデータを保存し、修正後のデータのみを表示させる」となると、ノーコードツールでは非常に難しくなります。このあたりは「データモデリング」という分野の話になってくるのですが、エクセルが扱えるとは全く別の話になってきます。
数字データも修正前の記録が残っていた方がベターかとは思いますが、文章とはだいぶ性格が異なる(例えば食事量が9から7に変更など微細な変化はどうでも良いですし、一方極端な変化、9から0にするとなると、改竄が強く疑われることになり、推察がし易いです。)ため、文章の記録と比較し、そこまでうるさくありません。
しかし、文章の記録は、修正により大幅な意味の変更が可能、もっと端的に言ってしまえば、「推察がしにくい隠蔽や創作が可能」となります。
外部的な信用の担保(=隠蔽や創作はしない経営である)を補償するためにも、文章の記録の修正前は残しておく必要があります。
そのため、文章の記録は扱いが数字の記録とは違うため、ノーコードツールではない形で開発し、有償という形でサービスを提供しています。
このように文章の保存はプログラミングでも意外と手間のかかる作業ということをご理解いただければ幸いです。