人間関係が悪い組織を「介護記録」で改善させる

個別個別は良い人なのに、なぜか仕事のチームとなると人間関係が悪くなる、、、介護施設に割と良くある風景です。

そもそも個別に良い人達なはずなのに、なぜその関係が悪くなるのでしょう?

目次

人間関係を定義する・・・

そのためには「人間関係」についてとりあえず定義しないとなりません。

人間関係はどんなものがあるでしょうか?

①良好な人間関係

②険悪な人間関係

③無関心な人間関係

③は街を歩いてすれ違うような方です。知らないからどうでも良いですよね。興味もありません。とりあえずこの3つは考えられますね。

では①と②について掘り下げてみます。

①も②も相互作用で起きる現象ではありません。片一方の矢印で起きる現象ともいえます。

Aさんにとっては良好でも、Bさんにとっては険悪という関係もありえます。

そう考えると、、、

1…Aさん良好・Bさん良好

2…Aさん良好・Bさん険悪

3…Aさん険悪・Bさん良好

4…Aさん険悪・Bさん険悪

この4パターンがありえます。良い人間関係は1/4です。ただし、これは「2人に限定した場合」です。これにCさんが加わるとどうなるでしょうか?

1…Aさん◯・Bさん◯・Cさん◯

2…Aさん◯・Bさん◯・Cさん✖️

3…Aさん◯・Bさん✖️・Cさん◯

4…Aさん✖️・Bさん◯・Cさん◯

5…Aさん✖️・Bさん◯・Cさん✖️

6…Aさん✖️・Bさん✖️・Cさん◯

7…Aさん◯・Bさん✖️・Cさん✖️

8…Aさん✖️・Bさん✖️・Cさん✖️

3人になると良い人間関係は1/8です。これが4人5人と増えていくと、、、1/16・1/32‥‥と増えていきます。

何が言いたいかというと、「「全員が良い人間関係を保ちながら仕事をするのは、人間それぞれに好き嫌いが別々で存在する以上、そのような関係は構築できない。」ということです。

ですので、実は③の関係をどうやって仕事に応用させていくか?が重要になります。

③の良い面は感情的にならないことです。一方で悪い面は無関心であることです。

この悪い面=無関心を「多少関心がある」という状態にしてしまうのです。そう④多少関心のある関係を強制的に作るのです。

多少関心のある人間関係とは?

では「関心を持たせるにはどうすれば良いのか?」となります。それは「自らの考え方を表明する」ことです。その方法は言葉にするのが最も手っ取り早いです。

それを表明する機会こそが「介護記録を自らの言葉で記す」ことになります。

Aさんの言葉で記された介護記録は、BさんとCさんがAさんの考えを知る機会となり、関心が持てるようになります。

人間関係が悪くなる理由は「人間関係を良くしようとする」からです。人間関係を良い・悪いで評価するから、おかしくなるのです。

人間関係を「関心・無関心」で評価すると、「好き・嫌い」という感情が一番上にくることはありません。嫌いな人は嫌いで良いのです。表面上の付き合いで良いのです。重要なのは、関心を持つ(=考えを知る)ことをチーム・組織に強制させることで、表面上の付き合いが円滑にできるようにすることです。

表面上の付き合い(=情報交換)が円滑にできる環境こそ、チームとしての業務が円滑に遂行でき、かつ、好き嫌いに対し悩む必要が軽減される(嫌いなら嫌いで良い)ため、いわゆる「人間関係の悪化での退職」というリスクが低減されます。

「皆が良い人間関係を構築できる」ような魔法はありません。おとぎ話を実現することはできません。でも、多くの介護施設はそれに向けて四苦八苦して首を絞めているように感じます。

私は管理者をしていた時にこの考えに辿り着き、実際に実行しました。実行するために全スタッフに2つの約束をしてもらいました。1つは「スタッフ・ご入居者の悪口を言わない。もし言うなら絶対にその人に伝わらない形にすること(例:自分の家族に愚痴るなど)」もう一つは「演技をして下さい。表面上の対応を重視して下さい。」ということでした。

ただ、最後のピース「介護記録の充実」が使用システムの関係上、どうしてもできませんでした。選択肢から選ぶため、皆んな同じ文言の繰り返しになってしまいました。そのためスタッフは自らの考えを表出する機会がほとんどなく、また、他スタッフの考えを知る機会もほとんどありませんでした。

その結果、人間関係の悪化はそこまでなかったのですが、関心を惹く材料がなかったので、どうしてもハブ的なポジションの人が疑問を持つスタッフに対し「こういう考え方だよ。」「こう思った結果だよ。」という伝書鳩的な立ち回りを強要され、業務的な負荷が強くなってしまいました。そう「リーダーが潰れ易い環境」になってしまったのです。これは本当に無念で無力を感じました。

介護記録は人間関係を良くするツール

ということで、長くなりましたが、「自らの言葉で記した介護記録は、【互いに多少関心を持つ人間関係】という、チームで仕事をする上での最良の人間関係を構築する大切な材料となる。」ということです。

まだ解りにくいですよね。もっと端的に要約すると「介護記録はチーム内でコミュニケーションを取るためのネタになる」ということです。逆説的に言えば「ネタがないとコミュニケーションが取りづらい」ということです。

チームの仕事が円滑にできる人間関係は「チームに所属するスタッフが円滑にコミュニケーション(=情報伝達)を図れる関係」です。

「良好な人間関係の構築」というような抽象的な表現は捨てて、前述(チームに所属するスタッフが円滑に‥‥)のようなもう少しだけ具体的な目的を持つことをオススメします。

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「サポレコ」管理者

介護業界に現場目線でICT化を推進するために2021年3月起業し、介護記録WEBアプリ「サポレコ」を運用しています。このページでは介護のことやICTのことについてラフな感じで記しています。

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