介護記録の充実が人件費抑制になるロジック
箇条書きにして分かり易く説明します。
・介護記録が意思のある自身の言葉で溢れている
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・自らの考えが反映されている(個別性)
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・コミュニケーションのきっかけになり易い
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・指導の材料になる
・自らの意見を述べられる場になる
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・材料が豊富なため現場コミュニケーションが円滑になる
(考えた言葉の介護記録は「組織のエンジンオイル(潤滑油)」となる)
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・コミュニケーションが活発になる
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・チームワークの良い組織となる
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・人間関係で離職することが防げる
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・人材募集の手配をすることが減少する
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・評判の良い職場となる
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・人の噂で人材が集まる
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・人の募集をする必要がなくなるため「人件費抑制」となる
*正確には「人材採用費」です
最初の小さな一手間(ひとてま)の積み重ねが、大きな成果を生み出すことになります。
重要な要素は「コミュニケーション」です。
介護施設の現場は複数人で協力しながら業務を遂行します。
また介護現場は毎日違う状況(=現場は水もの)の対応を要求されます。
そのため、チームが業務を円滑に行うには、チーム内の円滑なコミュニケーションは不可欠です。
「自分の意志の乗った介護記録」の非常に重要な副作用は・・・
「チーム内の円滑なコミュニケーションのためのとても有益な材料となる」
ということです。
実施指導対策記録の悪い副作用
こちらも箇条書きにして分かり易く説明します。
・記録の「抜け予防」を重視
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・とにかく手軽に記録という思考になる
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・テンプレート化・選択肢化
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似た内容の記録物の集まりになる
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・新人が参照にできる記録がない
・何を考えているのかがわかる機会が少なくなる
・自分の意思を表出する機会が少なくなる
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・コミュニケーションの材料が不足する
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・コミュニケーションの悪化
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・業務効率低下
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・業務効率低下予防のためその対策の立案と実行(細かな業務マニュアル作成など)
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・リーダークラスの業務負荷増大
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・リーダークラスの職員バーンアウト
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・離職となり、人材募集となる人材募集費(広告・派遣など)が増える
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・根本を見直さないため、これらが繰り返される
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・離職する施設として噂される
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・人材が集まりにくくなる
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・さらに人材募集費が増える
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・負のループから抜けられなくなる
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・小さな手間の省略の積み重ねが大きな金銭的損失となる
この「負のループ」の重要な箇所は「小さな手間の省略の積み重ね」です。
これは何事にも共通して当てはまる現象かと思います。小さな手間の積み重ねは長い目で見ると大きな成果を生み出します。一方それの省略の積み重ねも大きな損失を生み出します。
数学的発想で良く例えられるのが「毎日1.01を積み重ねるのと、0.99を積み重ねると1年後どうなるか?」というものです。楽天の三木谷社長が提唱したもので有名です。
1年後の数字、37倍と0.03倍の差というのは、さすがに誇張し過ぎですが、1.0001と0.9999だと1.03と0.97となるので、「1/10000の小さな差の積み重ね」もそれなりの差に現れていきます。
実施指導については、実施指導ってどういうことするの? にも記していますが、記録の不備で減算・・・なんてことはなかなか起きません(全くなしであれば別ですが・・・)。不恰好でも毎日コツコツの姿勢が見えれば大丈夫です。いや、むしろその姿勢が見えることの方が重要です。
「記録の不備・不充実」に対応し過ぎるあまりに、大事なことがスッポリと抜けてしまう・・・こういう事態になっている事業者が意外と多いと感じています。
重要な比較
上の説明を経由した上で、これら「意思のある言葉の記録が沢山ある職場」と「テンプレ記録が沢山ある職場」を比較します。
(意思のある言葉の記録が沢山ある職場)
具体的に業務参考になる記録が色々たくさんある
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業務参考になる記録が少ない
(テンプレ記録が沢山ある職場)
新人スタッフは先輩スタッフに聞く、先輩スタッフはどこがわからないか聞く
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忙しい現場なのに1人で情報を取りにいけない(2人必要)
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非効率な業務・参考情報不足による行き違い
コミュニケーションの円滑さに差が出てきます。また、、、
自ら考えた言葉で記録を作成
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テンプレート・選択肢を選ぶ
考える=選択肢を選ぶという思考になる
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多くの業務に選択肢が必要になる
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業務の細部まで行き渡ったマニュアルが必要となる
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リーダクラスの業務が増える
いわゆる一部の「有能なスタッフ」の業務負荷が増大します。
この有能なスタッフは引くて数多なので、転職先もすぐに見つかります。業務がその有能なスタッフの属人化していたら、その現場はもう崩壊寸前となっているでしょう・・・。
長くなりましたので、次は「デメリットをどう克服するか?」に焦点を当ててみます。